Dictionary
「————これは慈悲である、異界の仔よ。
魔を知らぬと言うのなら今この場で識っておけ。
それとも無智のまま、奴らの掌で踊りたいか?」
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魔力
大昔、宙から落ちてきた災厄の星が大量に有していたとされている物質。
かつてこの星に存在していた文明や生物は災害により多大な被害を受け絶滅の危機に瀕する事となったが、隕石が衝突した事により星が砕け、魔力がこの星全体に行き渡り、星に生きる生命たちに力を貸した事で我々は文明の再建に至っている。
魔導学や科学が発展した今も解明できていない点ばかりの謎の多い物質。普段魔力は気体として空気中に含まれており、この星の生命に力を借り形作って貰うことで実態を得ることが出来る。
一時的なものではあるがどんな物質にも変化する特殊な性質を持っており、そこから「万能の力」と呼ばれることもある。
魔力回路がない状態だと、どの生物にとっても毒となる事が分かっているが、その原因は未だ究明されていない。
魔力回路
この星の生命体の殆どがもつ、魔力を循環させる為の器官の事を指す。人類を含む多くの生物は血管(血液)がこれにあたる。
個体により、これの魔力許容量は違う。人の場合はその個体の血液がどれだけ魔力と共存できるかにより許容量が変わってきている。
魔力許容量を超えた状態で魔力を補充すればするほどに魔力は毒となり身体を蝕んでいく。魔力過多の状態が続くとじきに気絶。後遺症が残ったり、最悪死に至る事もある。魔力回路の許容量が少ないものは魔力補充の際は用心しなければならない。
逆に魔力許容量が極度に多いものは過度に共存が出来てしまう為に魔力回路以外の部位にまで魔力が入り込んでいる事がある。そういったものの特徴として、魔力が身体全体に流れ込んだ影響で体毛が白色になる、といったものがある。
人間を例に挙げると、常に魔力は血液と共に回路内(体内)を循環している。
これの循環が止まった場合、魔力が動きを止めてしまいじきに固体化、完全石化に繋がってしまう為、循環機能に異常が出た場合は早急に医療機関にかかる事をお勧めする。
魔導
(魔力、魔術)
主に人が魔力の性質を利用し、魔力を形作る。
生物の体内に流れる魔力回路の魔力を用いて直接的に魔力を形にする魔法、
魔術式と呼ばれる命令式を描く事で空気中の魔力を用いて魔力を形にする魔術。
これらを総じて魔導と呼ぶ。
・魔法
魔力回路の魔力を形にする魔導。自身の魔力回路の魔力をそのまま用いて扱う。その為、規模の大きい魔法を扱うには本人の魔力量がそれ相応に多い必要がある。
魔術式は特定の式を正しく描くことができれば確実に発動させることが出来るのに対し、魔法は魔力を発動者本人が上手く扱い魔力を一つの形にする必要がある。魔術と比べると発動までに時間がかからないなどの利点はあるが、本人の才覚に依存している為「誰でも簡単に扱える」ものとは言い難い。
・魔術
魔力の道を作り、式を描く事で魔力を形にする魔導。発動者が支払う魔力はごく僅かなものである為、自身の魔力量を気にせず扱うことが出来る。しかし、当然式を描く為に時間はかかるため発動速度では魔法に劣る。
これが指す魔術式は人の編み出したものであり、動物、魔物がこれを扱った前例はない。現状、人間及びそれに近しい知的生命体のみがこれを扱えるとされている。
旧生物
隕石が衝突するより前に生きていたとされる生物の事。
ついでに旧生物の人類の事は旧人類という。
白髪
白い髪の事。
これを持つ者は主に歳を重ねた事で色素が失われ白色の髪になった者、魔力許容量が極端に多い事から髪が白くなった者、ただ純粋に地毛が白い者の三つに分けられる。
地毛が白い人間は稀である為に、若者で白髪である人間は主に魔力量が多い者であると思われがちであったりする。統計によると魔力量過多で白髪である人間も相当珍しい部類だが、地毛が白い人間(アルビノ)はそれ以上に珍しいとされている。
これ故に白髪の人間は特に特別扱いされがちであったりもする。
禁忌魔導
使ってはならないと禁じられている魔導。
死者蘇生、死霊魔導、時間遡行、常識改変などの特殊な魔導がそれにあたる。
時間遡行は試して帰ってきた者が誰一人としていないから、常識改変は倫理的に考えてダメだから、といったように禁忌とされている理由は様々。しかし、死者蘇生、死霊魔導など、昔から禁忌と言われているが何故禁忌と呼ばれるようになったか、という肝心の理由は不明のものも含まれている。
しかし、禁じられるからこそ好奇心も湧くというもの。隠れて禁忌魔導の研究に勤しむ魔導師、悪巧みを企てる輩も絶えないが、そう言った魔導の取り締まりに特化した機関も存在しており、現代まで禁忌魔導による直接的な大事件が起こった例は未だない。